コンプレッサは夏に異常が発生しやすい!修理・メンテナンスで対策!

日本の夏は、高温多湿という厳しい環境が続きます。この時期、工場や事業所で稼働するコンプレッサは、まさに試練の時を迎えます。普段は安定して稼働しているコンプレッサも、夏場には異常が発生しやすくなるため、事前の対策と迅速な対応が不可欠です。

なぜ夏にコンプレッサの異常が増えるのか?

コンプレッサが夏に異常を発生しやすい原因は、主に以下の3点が挙げられます。

吸気温度の上昇

周囲の気温が上がると、コンプレッサが吸い込む空気の温度も上昇します。空気の温度が高いと、圧縮効率が低下するだけでなく、吐出空気温度も上昇し、コンプレッサ本体への熱負荷が増大します。

冷却効率の低下

冷却水や冷却空気を供給するクーラーやラジエーターの効率が、外気温の上昇によって低下します。これにより、コンプレッサ内部の熱が十分に除去されず、オーバーヒートのリスクが高まります。

多湿による結露・錆の発生

夏場は空気中の水分量が増加します。コンプレッサ内で圧縮された空気は、冷却される過程で多量の水蒸気が凝縮し、ドレンとして排出されます。ドレン処理が不十分だと、配管や機器内部での結露が促進され、錆の発生や機器の劣化を引き起こします。

これらの複合的な要因により、夏場はコンプレッサのトラブルが格段に増える傾向にあります。具体的には、吐出空気温度異常、吐出圧力低下、異常振動・異音、潤滑油の劣化、ドレン詰まりなどが頻繁に発生します。

夏を乗り切るための修理・メンテナンス対策

夏場のコンプレッサトラブルを未然に防ぎ、安定稼働を維持するためには、事前の点検と適切なメンテナンスが非常に重要です。

吸気系の点検・清掃

  • エアフィルタの確認・清掃・交換: 吸気フィルタが目詰まりしていると、吸入抵抗が増加し、圧縮効率の低下やオーバーヒートの原因となります。夏場は特に汚れやすいため、こまめな点検と清掃、必要に応じた交換を行いましょう。
  • 吸気口周辺の確認: 吸気口周辺に熱源や粉塵がある場合は、改善を検討しましょう。可能な限り涼しく、クリーンな空気を吸入できる環境を整えることが重要です。

冷却系の強化・点検

  • 冷却水・冷却風の確認: 水冷式の場合は冷却水の流量や水温、空冷式の場合は冷却風の循環が十分か確認します。冷却フィンやラジエーターにホコリが付着している場合は、清掃して冷却効率を確保しましょう。
  • クーラー・ラジエーターの清掃: 定期的に清掃を行い、熱交換効率の低下を防ぎます。特に夏場は、綿埃などが付着しやすいため、念入りな清掃が必要です。
  • 冷却ファン・モーターの確認: 異音や異常振動がないか確認し、必要に応じて修理や交換を検討します。

ドレン処理の徹底

  • ドレントラップの点検・清掃: 自動ドレントラップが正常に作動しているか確認し、定期的に清掃を行います。手動ドレンの場合は、こまめな排出を心がけましょう。
  • エアドライヤーの点検: 露点温度計などでエアドライヤーの性能を確認し、必要に応じてメンテナンスや修理を行います。夏場はエアドライヤーへの負荷が高まるため、特に注意が必要です。
  • ドレン配管の確認: 配管の詰まりや漏れがないか確認し、適切な勾配が確保されているか確認します。

潤滑油の管理

  • 潤滑油の量・状態の確認: 潤滑油のレベルを毎日確認し、規定量を保ちます。油が変色していたり、異臭がする場合は、劣化のサインです。
  • 潤滑油の交換: メーカーが推奨する交換時期に従い、定期的に交換を行います。夏場の高温稼働は潤滑油の劣化を早めるため、早めの交換も検討しましょう。

その他

  • Vベルトの張り調整・交換: Vベルトの緩みや劣化は、動力伝達効率の低下や異常音の原因となります。定期的に張りを確認し、必要に応じて調整や交換を行います。
  • 電気系統の点検: 端子の緩みや配線の劣化がないか確認します。特にブレーカーが落ちやすい場合は、電気負荷の確認も必要です。
  • 専門業者による定期点検: 自社での点検に加え、年に数回はコンプレッサの専門業者による定期点検を受けることを強く推奨します。専門知識を持ったプロによる点検は、潜在的な問題を発見し、大きなトラブルを未然に防ぐ上で非常に有効です。

まとめ

コンプレッサは、工場の安定稼働に不可欠な設備です。特に厳しい日本の夏場は、コンプレッサにとって過酷な環境となり、異常が発生しやすくなります。吸気温度の上昇、冷却効率の低下、多湿による結露などが主な原因となりますが、これらは事前の対策と適切な修理・メンテナンスによって十分に防ぐことができます。

夏本番を迎える前に、吸気系、冷却系、ドレン処理、潤滑油管理など、多岐にわたる項目について徹底的な点検とメンテナンスを実施しましょう。そして、少しでも異常を感じたら、放置せずに速やかに専門業者に相談することが大切です。計画的なメンテナンスと早期の対応が、コンプレッサの長寿命化と安定稼働を実現し、事業活動の継続に貢献します。